本記事では、撮影スキルをワンランク上げるために重要な、カメラにおける「段数」について分かりやすく解説します。
具体的には、以下の内容についての解説をサクッと理解できるようにまとめました!
- 段数の基本
- 段数の活用法
- 段数を活かせるアクセサリー
この記事を読むことで、あなたの撮影スキルは確実に向上し、美しい写真を撮影できるようになります。
ぜひ、この記事を読んで段数について理解し、あなたの撮影スキルを次のレベルへと引き上げてください。
F値と段数の関係
段数とは明るさをあらわす指標で、F値で変化させることが可能です。
段数が高いほど絞りが開いて「明るく」、段数が低いほど絞りが閉じて「暗く」なります。
-4段 | -3段 | -2段 | -1段 | 基準 | 1段 | 2段 | 3段 | 4段 | |
F値 | 22 | 16 | 11 | 8 | 5.6 | 4 | 2.8 | 2 | 1.4 |
光の量 | 1/16 | 1/8 | 1/4 | 1/2 | – | 2倍 | 4倍 | 8倍 | 16倍 |
例えば、表のようにF5.6のときの光量を基準とした場合、段数を1段下げて「F8」にすると、光量は半分(1/2)になります。
逆に、段数を1段上げて「F4」にすると、光量が2倍に増えます。
ルイ
フジト
【注意】段数は1/3段刻みで変わる
カメラのF値は、1つズラすと1/3段刻みで段数が変化します。
つまり、段数を1つ変化させるには、F値のダイヤルを3回まわす必要があるということです。
具体的には、F値を1/3段刻みで変化させると、以下のようになります。
-1段 | -2/3段 | -1/3段 | 基準 | 1/3段 | 2/3段 | 1段 | |
F値 | 8.0 | 7.1 | 6.3 | 5.6 | 5.0 | 4.5 | 4 |
光の量 | 1/2 | 約1/3 | 約1/6 | – | 約1.4倍 | 約1.6倍 | 2倍 |
フジト
段数をチェックする方法
カメラには、光の量を測定する露出計が内蔵されているので、以下の方法で段数をチェック出来ます。
- 液晶モニターを見る。
- ファインダーを覗く。
今回は、SONYのミラーレス一眼(α7Ⅲ)の液晶モニターを実際に見ながら、露出計の値を確認していきましょう。
ちなみに、上記のどちらの方法でも、露出計の値を確認できるのは、マニュアルモード使用時のみです。
液晶モニター内にある、M.M.(メータリングモード)という項目が露出計が算出した値で、カメラが適切な露出値だと判断すると、このM.M.の値が「0」を表示します。
ファインダーで確認する場合や、SONY以外のメーカーのカメラを使用するときは、以下のようなメモリで露出値が表示されることもあります。
フジト
例えば、明るいシーンを暗くしたい時や、暗いシーンを明るくしたい時は、露出値をプラス or マイナスのシフトさせるのが望ましいです。
ISO感度&シャッタースピードでも段数を変えられる
F値の段数だけでなく、ISO感度やシャッタースピードも、写真の明るさに影響を与えます。
これら3つの要素をバランスよく調整することが、美しい写真を撮るための鍵です。
ISO感度で段数を変える
ISO感度と段数の関係は、F値のときと同じように変化します。
-4段 | -3段 | -2段 | -1段 | 基準 | 1段 | 2段 | 3段 | 4段 | |
ISO感度 | 100 | 200 | 400 | 800 | 1600 | 3200 | 6400 | 12800 | 25600 |
光の量 | 1/16 | 1/8 | 1/4 | 1/2 | – | 2倍 | 4倍 | 8倍 | 16倍 |
例)ISO1600のときの光量を基準とした場合、段階を1段下げて「ISO800」にすると、光量は半分(1/2)に。
逆に、段階を1段上げて「ISO3200」にすると、光量が2倍に増えます。
フジト
-1段 | -2/3段 | -1/3段 | 基準 | 1/3段 | 2/3段 | 1段 | |
ISO感度 | 800 | 1000 | 1250 | 1600 | 2000 | 2500 | 3200 |
光の量 | 1/2 | 約1/3 | 約1/6 | – | 約1.4倍 | 約1.6倍 | 2倍 |
こちらもF値と同じように、明るさを基準から1段階かえるなら、3回ダイヤルを回します。
最近のカメラは、ある程度ならISO感度をあげてもノイズが出にくいので、F値やシャッター速度をあげたくない時は、積極的に上げてしまって問題ないでしょう。
フジト
シャッタースピードで段数を変える
シャッタースピードと段数の関係も、F値やISO感度と同じように変化します。
-4段 | -3段 | -2段 | -1段 | 基準 | 1段 | 2段 | 3段 | 4段 | |
シャッター速度 | 1/15秒 | 1/8秒 | 1/4秒 | 0.5秒 | 1秒 | 2秒 | 4秒 | 8秒 | 15秒 |
光の量 | 1/16 | 1/8 | 1/4 | 1/2 | – | 2倍 | 4倍 | 8倍 | 16倍 |
例)シャッタースピードが1秒のときの光量を基準とした場合、段階を1段下げて「0.5秒」にすると、光量は半分(1/2)に。
逆に、段階を1段上げて「2秒」にすると、光量が2倍に増えます。
ルイ
-1段 | -2/3段 | -1/3段 | 基準 | 1/3段 | 2/3段 | 1段 | |
シャッター速度 | 0.5秒 | 0.6秒 | 0.8秒 | 1秒 | 1.3秒 | 1.6秒 | 2秒 |
光の量 | 1/2 | 約1/3 | 約1/6 | – | 約1.4倍 | 約1.6倍 | 2倍 |
シャッター速度は、私たちが日常生活でよく使う秒数を扱うことから、ISO感度やF値と比べて、段階的な変化をイメージしやすいと思います。
フジト
ISO感度/シャッタースピード/F値のバランス
美しい写真を撮影するためには、ISO感度/シャッタースピード/F値の3つの要素をバランスよく調整することが大切です。
これら3つの要素は、いわゆる「露出の三つ巴」とも呼ばれ、お互いに影響しながら写真の明るさや被写界深度をコントロールします。
例えば、暗いシーンでは、ISO感度を上げることで明るさを確保できますが、ノイズが増えるため注意が必要です。
また、被写体が動いている場合は、シャッター速度をあげてブレを防ぎつつ、F値を調整して適切な明るさにする必要があります。
フジト
段数の一覧表を作る
段数の計算に慣れないうちは、一覧表を持っておくことをオススメします。
なぜなら、一覧表を活用することで、撮影シーンに合わせて最適な設定をすぐに見つけることが出来るからです。
ルイ
一覧表の作り方にこまかいルールなどはないのですが、自分は以下のような表を使っていました。
-5段 | -4段 | -3段 | -2段 | -1段 | 基準 | 1段 | 2段 | 3段 | 4段 | 5段 | |
F値 | 32 | 22 | 16 | 11 | 8 | 5.6 | 4 | 2.8 | 2 | 1.4 | 1 |
ISO感度 | 50 | 100 | 200 | 400 | 800 | 1600 | 3200 | 6400 | 12800 | 25600 | 51200 |
シャッター速度 | 1/30秒 | 1/15秒 | 1/8秒 | 1/4秒 | 0.5秒 | 1秒 | 2秒 | 4秒 | 8秒 | 15秒 | 30秒 |
この一覧表をチェックすることで、簡単に写真の明るさを調整する方法をマスターできます。
前述の通り、各パラメータの段数を1つ下げることで、写真の明るさは半分になります。
逆に、段数を1つ上げると、写真の明るさは2倍になりますので、ぜひ覚えておきましょう!
フジト
【例題】段数の計算でバランスを整える
さて、ここからは例題を用いて、ISO感度/シャッタースピード/F値をバランスよく調整していきましょう。
- F値: 5.6
- ISO感度: 400
- シャッター速度: 1秒
この場合、どうすれば露出を変えずに、F値を上げることができるでしょう?
ルイ
フジト
-5段 | -4段 | -3段 | -2段 | -1段 | 基準 | 1段 | 2段 | 3段 | 4段 | 5段 | |
F値 | 32 | 22 | 16 | 11 | 8 | 5.6 | 4 | 2.8 | 2 | 1.4 | 1 |
ISO感度 | 50 | 100 | 200 | 400 | 800 | 1600 | 3200 | 6400 | 12800 | 25600 | 51200 |
シャッター速度 | 1/30秒 | 1/15秒 | 1/8秒 | 1/4秒 | 0.5秒 | 1秒 | 2秒 | 4秒 | 8秒 | 15秒 | 30秒 |
段数の計算は、さきほど紹介した「段数の一覧表」があれば、小学1年生でも解けるような足し算or引き算で完結します。
F値を2段あげたということは、ISO感度とシャッター速度を合計2段階下げてあげれば、露出は変わりません。
フジト
一覧表を見ると、以下のようなパターンで、露出を2段階下げられることかが分かります。
- ISO感度を100にする。
- シャッター速度を1/4秒にする。
- ISO感度200,シャッター速度を0.5秒にする。
このように、段数の一覧表を使えば、パッと見でどう設定を変えれば良いのかが分かります。
ルイ
フジト
露出計算アプリを活用する
露出計算アプリは、ISO感度/シャッタースピード/F値を最適に設定する際に役立ちます。
なぜなら、撮影条件を入力することで、適切な絞り値やシャッタースピードを提案してくれるからです。
例えば、夜景撮影では、アプリを利用して低いISO感度と適切なf値の段数を組み合わせることで、ノイズの少ない美しい画像を得ることができます。
段数の知識を活かしたアクセサリー選び
段数を理解し、撮影スキルを向上させたいと考えるなら、適切なアクセサリー選びも重要です。
プロの写真家は、段数に応じたアクセサリーを活用して、撮影シーンに合わせた最適な設定を実現しています。
フジト
NDフィルターで絞りをコントロール
明るい状況で撮影する際に、絞りを開放してボケ味を活かしたいなら、NDフィルターが役立ちます。
NDフィルターは、光の量を減らすことができるため、F値段数を低く設定したままでも、適切な露出を保つことが出来るのです。
ルイ
レンズフードでコントラスト向上
段数を活用して美しい写真を撮るためには、コントラストも重要な要素です。
レンズフードを使うことで、レンズに入るストレイ光(望ましくない光)を抑え、コントラストを向上させることができます。
また、絞りを開放して撮影する際には、特にレンズフードが役立ちます。
フジト
ソフトフィルターで夢見るような表現
段数を高く設定しても、夢見るような柔らかい表現を得たい場合は、ソフトフィルターがおすすめです。
このフィルターをレンズに取り付けることで、柔らかい光の広がりを表現することができます。
ポートレートや風景写真で独特の雰囲気を演出したい場合に、ソフトフィルターが活躍します。
フジト
まとめ: 段数を理解し撮影スキルを向上させよう
本記事では、段数について詳しく解説しました。
以下のポイントを振り返り、段数を活用した撮影をどんどん試していってください。
段数を活用することで、様々な撮影シーンに対応し、印象的な作品を作り上げることができます。
ぜひ、この記事で学んだ知識を活かして、あなたの撮影スキルをさらに磨き上げてください。