写真撮影でしばしば直面するレンズのフレア&ゴースト。
この現象は、光源の映り込みが原因で、画像に望まぬ効果をもたらすことも……。
しかし、適切な知識を身につければ、これを防ぐ、または創造的な表現に変えることができるんです。
本記事を読めば、フレア&ゴーストを理解し、上手に対処する方法を身につけられるでしょう。
フレア&ゴーストについて
写真撮影において、フレアとゴーストは、レンズ内での光の反射や屈折が原因で発生する現象です。
まずは、フレアとゴーストの特徴について、それぞれ詳しく見ていきましょう。
フレアとは?
フレアは、語源である英語の”flare”という名のように、写真が明るくなる現象です。
フレアについて詳しく解説すると、以下のようになります。
レンズフレア (lens flare) は、カメラによって写真・映像(動画)を撮影する際、極めて明るい光源がレンズに向けて当てられている時や、画角内に極めて明るい光源が存在する場合に生じる、暗部への光の漏れである。
―「wikipedia」より引用―
暗部へ光が漏れると書いてあるように、本来暗いハズの部分まで明るくなるので、写真が全体的に白っぽくなるのです。
つまり、画像全体のコントラストが低下するので、シャープさが失われてしまいます。
ゴーストとは?
ゴーストは、語源である英語の”ghost”という名のように、存在するハズのない光が幽霊のように、写り込んでしまう現象です。
ゴーストについて詳しく解説すると、以下のようになります。
ゴーストとは、逆光時などにレンズ内に強い光が入ると、レンズ内で反射した光が絞りの形や楕円などとして写る、光の像のことです。
―「Canon」より引用―
光が強すぎるがために、絞りの形(楕円)がそのまま写真へ写り込んでしまいます。
フレアと違って、写真のある一箇所に絞りの形をした光がハッキリ見えるので、すぐに気が付けるでしょう。
フレア&ゴーストの違い
フレア&ゴーストの違いを表にまとめました。
特徴 | 範囲 | 名前の由来 | |
---|---|---|---|
フレア | 写真に明るくなる | 全体に広がる | “flare” 光が明るく輝く |
ゴースト | 光点が写真に現れる | 一部に限定される | ”
ghost” 幽霊 |
フレアは、レンズ内で反射した光が明るい領域として現れる現象で、写真全体に広がることが多いです。
一方、ゴーストは、レンズ内で光が反射し、光点が現れる現象で、写真の一部に限定されることが多いです。
フジト
フレア&ゴーストの原因
フレア&ゴーストの発生は、以下のような原因が存在します。
それぞれ詳しく解説します。
レンズの構造
レンズ内に多くの光学素子があるほど、フレア&ゴーストが発生しやすくなります。
なぜなら、複数のレンズ要素が重なることで、光の反射や屈折の回数が増えるからです。
逆に単焦点レンズは、シンプルな構造でレンズ枚数を減らせるので、リスクが比較的ひくめです。
逆光や強い光源
逆光や強い光源も、フレア&ゴーストの原因となります。
これらの光がレンズに入ると、レンズ内で反射してしまうからです。
ルイ
コーティング技術
レンズには光の反射を抑えるために、特殊なコーティングが施されています。
しかし、コーティング技術によっては、十分な効果が得られない場合があるのです。
従って、高品質なコーティングが施されたレンズを選択することが重要と言えます。
フジト
フレア&ゴーストの対策方法
フレア&ゴーストを減らす撮影テクニックには、以下の方法があります。
それぞれ詳しく解説します。
F値を上げる
フレア&ゴーストとF値には、以下のような関係があります。
F値を大きくすると、レンズの有効幅が狭くなり、光の入り方が整います。
逆に、F値が小さくなると、レンズの有効幅が広くなり、光が入り乱れやすくなるのです。
ルイ
適切な機材の選ぶ
例えば、レンズ選びでは、光の反射を抑えるために、高品質なコーティング技術が施されたものを選びましょう。
他にも、フレアなどが発生しにくいレンズ構造を持つ製品を選ぶことも効果的です。
フジト
フィルターを外す
レンズに付けている保護フィルターも、原因になることがあります。
なぜなら、保護フィルターも少なからず反射や乱反射を引き起こす可能性があるからです。
フレア&ゴーストは、反射や乱反射が原因でおきる現象なので、フィルターがマイナスになる可能性もあることを覚えておきましょう。
ルイ
撮影角度を変える
撮影角度を変更することで、フレア&ゴーストの発生を抑制できます。
特に、光源とカメラの角度を調整し、直接光がレンズに入らないようにすることが重要です。
フジト
アイテムを活用する
フレアやゴーストの対策に使えるアイテムを、表にまとめました。
レンズフード
レンズフードは、光源からの直接やってくる光を遮る効果があります。
適切なサイズと形状のレンズフードを選び、レンズに取り付けることで、余計な光が入ることを防ぐことができます。
ルイ
偏光フィルター
偏光フィルターは、光の反射や屈折を抑えることができます。
ただし、安価なフィルターや低品質なものは、逆にフレア&ゴーストを引き起こすことがあります。
フジト
サンシェード
サンシェードは、本来ハレーション切りをするための道具ですが、フレア&ゴーストの対策にも使えます。
レンズに向かってくる太陽光などを、遮るために使用します。
ちなみに、サンシェードは板などを黒く塗って、自作したようなものでも問題ありません。
ルイ
ハレーションはフレアと混同されがちですが、発生のしくみは違います。フィルムの内面でおきる現象なのでデジタルカメラには関係がありません。
―「Canon」より引用―
ただし、フレアのことをハレーションと思っている人もいるので、そういった実情を知っておくと、会話が食い違ってしまう事態を避けられるかもしれません。
後処理方法で目立たなくする
フレアが発生した写真でも、後処理を行うことで改善が可能です。
画像編集ソフトウェアを使用して、フレア部分の明るさや彩度を調整し、目立たなくすることができます。
フジト
フレア&ゴーストでクリエイティブな表現をする方法
フレア&ゴーストは悪影響をもたらすと紹介してきましたが、逆にクリエイティブな表現へ変えることも可能です。
例えば、以下のような撮影テクニックを活用することで、ステキな雰囲気の写真が撮れるようになります。
それぞれ詳しく解説します。
F値を下げる
フレア&ゴーストをあえて出すには、F値をさげましょう。
絞りが開くほど、光の入り方が乱れるのでフレア&ゴーストが生じやすくなるからです。
ルイ
光源を直接レンズに当てる
フレア&ゴーストを効果的に出すためには、光源を直接レンズに当てるのがポイントです。
光源の位置や角度によって表現が異なるため、試行錯誤しながら最適な角度を見つけていくと良いでしょう。
また、逆光で撮影したポートレートでは、被写体のシルエットにフレアが乗ることで、幻想的な雰囲気が生まるのでオススメです。
フジト
オールドレンズを使用する
オールドレンズを使用することで、独特のフレア&ゴースト現象を楽しむことができます。
オールドレンズは、現代のレンズに比べて反射防止コーティングが劣っているため、ゴースト現象が起こりやすいからです。
しかし、これが逆に魅力となり、独特な雰囲気や表現力を持つ写真を撮影することができます。
ルイ
まとめ
本記事では、フレア&ゴースト現象について以下の内容を解説しました。
フレア&ゴーストは、写真にとって邪魔なノイズになりがちですが、活かし方によっては表現にもなる不思議な現象です。
どんな表現をしたいかにもよりますが、本記事の内容を踏まえ、フレアやゴーストと向き合ってみて下さい。